162日目 彼にとっての"日本語のせんせい"
こちらの記事を覚えていますでしょうか?
読んだことない、あるいは、覚えていない方、まずはこちらを読んでください。
今回は、この話の続編になります。
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1月下旬に、MGMP(日本語教師会)がありました。
その時に、ある先生が1人私に近寄ってきました。
トンダノの先生。
「先生、来月の下旬、学校にきてくれませんか?」
そうだ、そうだ、私は1月に来てくれと生徒(彼 : 10月に魚をくれた生徒)から言われていたんだった。
「彼がずーっと、先生のことを待っているんです。」
彼との約束を破るわけにはいきません。
日本語のせんせいとして、必ず叶えると誓いましたから。
自分の派遣校の先生方、そして校長先生から許可をいただき、2月下旬に、彼の学校にお邪魔しました。
初めての日本人。NP(日本語パートナーズ)のいない学校です。
学校全体がとてもウェルカム状態で待っていてくれました。
校長先生をはじめ、先生方、そして生徒によるコリンタン(北スラウェシの楽器)の演奏。とても嬉しいです。同時に、緊張してはるのもわかりました(^_^;)毎回そうです。会って早々緊張していない人はいません。特に外国人相手だと緊張しますよね。
すると、女性が1人、私のところへ寄ってきました。
「先生、お会いしたかったです。本当にありがとうございます。」
なななんと、彼のお母さん。
「お母さん!魚美味しかったです!本当にありがとうございました!」
直接、お伝えできたのは嬉しかったです。数分のために、学校に来ていただいたそうです。感謝です(´;ω;`)
2クラスで授業をしました。
1クラス目が終わり、2クラス目へ移動する時に、例の彼が迎えに来てくれました。
なななんと、丸坊主になっていました。
「え、前会った時は、もっと髪の毛長かったよね?」
と聞くと、
「せんせい、ハゲになりました、僕は髪が長かったですから、先生に切られました。」
おいおい、nakal(いたずらっ子)かい!笑
インドネシアの高校の多くでは、男子生徒は、髪が長かったら先生に切られます。昔、多くの日本の学校でもありましたよね?
そして、もう一つ驚いたこと。それは、日本語がペラペラになっている...!この彼のセリフは、彼が言った言葉そのままです。"切られました" と、受け身が使えてるのも、すごい.....!!
「日本語ペラペラだね〜」
「いえいえ、まだまだです。」
謙遜も言える....!
「せんせい、次(のクラス)は気をつけてくださいね、みんな、やんちゃですから。」
そうなの〜!?!
と彼の言葉を半信半疑で聞いていましたが、まぁ彼の言葉通りだったかもしれない(笑)
学校でお昼ご飯をいただき、先生方と談話し、帰宅することに。
「せんせい、本当にありがとうございました。せんせいは来てくれると思っていました。」
信じてくれてたのは、嬉しいな。それにしても本当に日本語上手になった。感動。
「俺、とても嬉しかった、あ、違う、めっちゃ嬉しかったで。」
私が関西出身ということ、覚えてくれてたんやな( ̄▽ ̄)笑
「先生もめっちゃ楽しかったわ、おおきに、ありがとう」
関西弁サービスをしておきました(笑)
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それから一週間後。
マナド で、「日本語コンテスト」がありました。
日本人が読む文章を聞いて、文字に起こすというコンテスト。
以前、委員会の方から、協力依頼をいただいていたのですが、その日、派遣校でのラスト授業。どうしてもラスト授業は外せないため、お断りしました。
私以外のNPは全員参加されたそうです。
その日の夜。
トンダノの先生からメッセージが来ました。
「先生、彼が優勝しました。」
えええええええ
すごすぎる......!!!!!
「先生は、なぜいませんでしたか?」
と。歓喜の瞬間に立ち会えなかったのは、残念ですが・・・云々と、送りました。
すると、彼からメッセージが。
「さっき、先生を探したのに来なかったよな」
SNSになると、語尾が友達調になる彼(笑)
「先生は学校に行っていました。見たかったなぁ〜」
と送りました。
「先生がいると、俺は嬉しくなる。終わったから仕方がないね。先生、すぐに日本に戻るからね(涙)いつか日本で会おう。これからも日本語の勉強を頑張る。」
と返事が。
「先生もインドネシア語の勉強を頑張ります!」
トンダノの風景。