カウンターパート(CP)の変化
私が日本語パートナーズとして活動した高校は、2校共に初派遣校。
そのうちの一校についてのお話をしたいと思います。
この学校に、日本語の先生はお二人。
男性と女性。
男の先生は30代。女の先生は40代。
日本語パートナーズは、いきなり学校に行くのではなく、二日間のNPとCPのワークショップを経て、学校に行きます。つまり、初めての出会いは、このワークショップにて。
ワークショップに関してはこちらの記事を↑
当初、お二人ともに、全く日本語を話してくださいませんでした。というよりかは、自信がないように感じました。日本語ネイティブに話すのは、緊張しますよね。
我々だってそうです。英語圏出身の方に、ペラペラ英語を話せますか?慣れていないと難しいと思います。
カタコトでも話してくだされば嬉しいですが、なかなか難しく・・・・。
北スラウェシには、NPの派遣が3度目の学校がたくさんありました。
つまり、NP活動に慣れた日本語の先生方が多数派です。
その方々と比べてしまうと・・・・自信がなくなるのは、わからなくもないです。
ワークショップ以降も、インドネシア語以外を聞くことがありませんでした。
日本語パートナーズの存在がきっかけになれば・・・・!
と思い、なるべくインドネシア語を使わないことに決めました。
たとえ先生がインドネシア語を話しても、返事は簡単な日本語で返す。
授業前と授業後に、軽く打ち合わせをする。
先生方との連絡の際は、日本語とインドネシア語を両方書く。などなど。
とにかく、日本語に触れる機会を増やしたこと、そして、不安を少しでも減らせるようにしたこと。この2つを徹底的にしました。
1ヶ月経ったころですかね。
男の先生が、徐々に日本語を使ってくださるようになりました。
インドネシア語の間に日本語が挟まるような。イメージとしては、ルー大柴さんが話す文のインドネシア語-日本語ver.
"turun あめ" (turun = 落ちる つまり、雨が降る)
2ヶ月経った頃には、男の先生は日本語だけで話してくれるようになりました。
一方で女の先生も、日本語で話してくれるようになりました。難しいときはインドネシア語で話して、それを日本語に訳して教えていました。
3ヶ月経った時、ふと女の先生に聞きました。
「なぜNPの活動に参加したのですか?」
先生は、「すみません、怒らないで」と何度もおっしゃいました。
「わたしは、嫌でした。NP来ても、授業ができないからです。でも男の先生がやってみようと言いました。だから1回だけやってみよう、と言いました。」
わたしは、「嬉しいです。」と答えました。
NPに参加しようという行動は、大きな一歩です。この行動は素晴らしい。同時に、どうかこの一歩が、報われますように。そのために自分がNPとしてできることは・・・。この時から、これまで以上にNP活動を考えるようになりました。
実はこの時、中間ワークショップを迎えていました。
中間ワークショップでは、これまでにしてきたことをNP、CPでプレゼンテーションする場です。日本語での発表がルールになっていました。
これは絶好のチャンス。
他の北スラウェシの先生方の前で、日本語で発表していただこう。それを自信にしていただこう。
御察しの通り、私はかなりスパルタだったと思います。
でも、何としてでも先生方には発表していただきたかった。
このことをCPの先生に話すと、思っていた通りの返事が。
「嫌です」
「恥ずかしいです」
「日本語、できないから・・・」
わかります。気持ちわかります。
「私、全力でサポートします!」
それぞれの先生と一対一で話し合いました。3時間から4時間ずつだったと思います。
話し合って、原稿を作って、練習をして・・・・。
経った8分のプレゼンテーションですが、CPの先生方にとっても、私にとっても、大きな経験になると思ったので、力は抜きませんでした。
プレゼン用のポスターと、資料を準備していきました。
当日。
先生方は懸命に練習をしてくださっていました。先生方の努力には脱帽です。
本番では完璧にプレゼンテーションしてくださいました。
「先生、本当にありがとうございました。素晴らしいです!」
と先生に言うと、
「日本語、話すことができました。」
この言葉はとても嬉しかったです。
誰よりも驚いていたのは、北スラウェシの先生方。えぇ!とても話してる!など、CPの先生の成長に驚いていました。その姿をみて、私はニヤニヤ( ̄▽ ̄)
派遣から5ヶ月後。
派遣校以外の学校に訪問することが増えました。その際、CPの先生も同行してくださいます。私の授業の通訳はCPの先生。とても頼りになります。
ある学校に訪問した時の帰り道の話。
車には、男の先生、女の先生、訪問先の先生、そして私が乗っていました。
私がうとうとしていると、先生方がこの6ヶ月間について話し始めました。(もちろんインドネシア語で)
「男の先生が、NP活動に応募したの」
そのうちに、女の先生が”私”の話を始め、シャキッと目覚めましたが・・・寝たふりを続けて耳を傾けていました。ビクビクしながら聞いていました。
「日本語パートナーズに応募してよかった。」
「日本語をもっと勉強しようと思う。」
「次回も日本語パートナーズに応募する。」
「あなたの学校も応募したほうがいいよ!もっと日本語を好きになれるから」
私の予想と反して、嬉しい言葉が並んでいました。
"1回だけ"のきっかけを"次回も!"に。
NPとしてこれほど嬉しいことはありません。
私と先生方との相性がよかったと思います。
そして、先生方の努力。嬉しい限りです。
私は寝たふりをしながら心で言いました。
「インドネシア語をもっと勉強しようと思います。」
帰国して3ヶ月経ちました。
女の先生は、日本語でメッセージを送ってくださるようになりました。
男の先生は、漢字を読めるだけでなく、書けるようにもなっていました。
今年も、日本語パートナーズが学校に来るそうです。